フレの引退

誰が言った言葉だろうか。「春は別れと出会いの季節。」


昨日はオール明けで、昼寝をしつつノンビリ過ごしていた。
そのため、なんとなく暇な時間が夕方に出来てしまった。
いつもなら読書を開始するところ・・・だが、FF11にログインしてみた。
なんでなんだろう。
今考えてもなんでログインしたのか分からない。ただなんとなく、だった。

LSメンバーリストを開いてみると、よく見る、しかし最近はめっきり見なくなった名前が。
おぉ彼も久々に復帰か!
そう思って嬉しかった。
二ヶ月振りくらいだったかな。
彼とは2年近くLSメンとして、フレとして、色々な場所、クエ、ミッションを共にこなした。
しかし彼は「ごめん、今日で引退します」そう言った。


今日は持ち物をフレやLSメンに配りにきたそうだ。別れの挨拶と共に。
ショックだった。
しかし、あまり強く引き留めて決心を揺るがすわけにはいかない。
彼自身、持ち物を渡すに至るまで相当悩んだそうだ。

メインの装備や武器をロランベリーで格安でバザー。
LSメンバーが彼を取り囲む。
売れてゆく装備品。
「安くしてるからじゃんじゃん買っちゃって」
買いたくなかった。それだけ別れが近づいてくるから。
しかし、通りすがりの廃人装備をした人がスゴイ勢いで買っていくのがログに写る。
この状況、見ればわかんないのかな・・・。
LSメンバーが全員で頑張って残りを買ってゆく。
黄色い文字で売れていく事を示す装備品。
別れが近づいてくる。
「買われちやったねー。手渡しにすればよかったねw」
彼はそう言った。
でも、引退バザーをする、それこそに意味があったから、俺はそれでいいと思った。

売り上げと持っていたお金をLSに託し、均等に配分する事を伝えて彼は倉庫へ移動した。


サンドリアへLSメンで移動する飛空艇の中で、短いけれど、色々話した。
昔あったこと、リアルの事、そして彼が見れずに終わったプロマシアMの事。
サンドリア港のモグハウスの前で、彼の倉庫キャラがLSメンバーを迎えてくれる。
「たいしたモノ残ってないけど・・・バザーするねw」


持ち物の「受け継ぎ」も一段落し、「じゃあそろそろ・・・」と彼が言う。
「ちょっとまって!」俺は彼のバザーから買ったマウラのにんにくを握りしめてモグハウスは入った。
材料を取り出し、ジョブを変え、彼から受け継いだブリガンダインを装備し、山串を焼く。
そう、あの有名なフラッシュの一場面のように。



「いままでありがとう。リアルもヴァナも頑張って!」
そう言って彼は座りだす。
各々の別れの言葉が飛び交う。
残り5秒になったからだろう。彼は言う。「じゃあね!」
「またね!!」おもわず俺はそう言っていた。
その後、彼は消えた。


ネトゲを続けていればまたどこかで会えるさ。」
「そうだねw」
そう話したのを思い出す。
俺は彼との間に友情を感じていた。現実の友達となんら違わぬ友情を。少なくとも俺は。
FFをやっていなかったら、成り立たない出会いだっただろう。
そしてその彼と共に色々な経験をした。
その思い出を俺は忘れない。



彼はヴァナで俺達に見せてくれた人柄の良さで、リアルで頑張っているのだろう。
ありがとう、お疲れさまでした。