乙一「GOTH」

GOTH―リストカット事件

GOTH―リストカット事件

以前、電車の広告かなんかで見て、タイトルを覚えていた。
図書館でふと目が留まったので「GOTH」を読んでみた。
短編集だが、登場人物・設定などは各話で引き継いでる、という本。


非常に暗い話。
表現も細かく、どこかグロテスク。
乙一という作者について軽く調べてみたところ、どうやら白く繊細な話と黒く暗い話を書き分けている人のようだ。
どうやら、黒い方の本だったらしい。



けれど、内容には満足。
非常に面白い。
ぐいぐいと先にひっぱてゆく感は薄いが、展開は面白かった。
特に、最後に載っている「声」なんかは面白かったなぁ。
これは明らかにドラマや映画などの映像作品よりも、本という媒体向けのお話で、非常に興味深かった。
本だからこそ興奮する表現・展開、っていう。
「犬」ってのも、そうかな・・・。
紙の上に書かれた文章、という本の特徴を上手く利用している。


非常に面白かった。
ファンの方には失礼かもしれないが、乙一という人を知らなかったので、思わぬ拾いモノって感じ。