恩田陸「チョコレートコスモス」

チョコレートコスモス

チョコレートコスモス

久々の恩田陸
結論から言うと、これは傑作だと思う。


恩田陸という作家は様々なジャンルの本を書いているが、チョコレートコスモスのような話が自分は好きだから、てのもあるかもしれないけど。
恩田陸の著作の3本指に入ることは間違いない、と読んでて思った。
あくまで個人的な感想だけど。
あらすじに関しては、ちょこっと検索かけたり、いろんなサイトで書き尽くされてるであろうから、はしょるとして。
まぁ、演劇関係のストーリーで、どうしても「ガラスの仮面」が頭に浮かぶ作品、と言っておけば間違いはないんじゃないかな・・・。


あらすじはともかく、この本では、「緊張感」が凄かった。
映画やドラマと違って、本は紙に文字が書いてあるので、文字を読んで浮かべる場面というのは十人十色だろう。
なもんで、この本にはさっぱり緊張感なんてないぜ、と思う人もいるだろうが・・・。
少なくとも自分は、この本の展開と恩田陸の書く文章で、凄まじい衝撃と緊張感を味わった。
この緊張感こそ、恩田陸の魅力だと個人的は思っている。


自分は本を読むと、文字が勝手に頭の中で映像に変換される。
登場人物がカギ括弧内の台詞をしゃべる。
表情を変える。
移動する。
そんなわけで、読んでみたときに、よりクリアにスムーズにテンポ良く映像が展開していくような文章を書く作家と、とても相性が良い。
その相性を波長が合う、とかって自分では表現する。


恩田陸の本は、とても波長が合う。
それはデビュー作「六番目の小夜子」を読んだときから確信していたことなのだが、改めてチョコレートコスモスを読んで、確認。
小夜子でもそうだったが、恩田陸の書く本(がもたらす映像)には緊張感がつきまとう。
その独特の緊張感が心地よい。
特に本作はそれが強く、むさぼるように読み進めてしまった。


こんなに夢中になったのは東野圭吾白夜行以来だろうか・・・。
2、3年くらい振り。久々だ。


続きを書けそうな終わり方だ。序章、って感じ。
もし構想があるのなら、続きを読んでみたい。



いつもに増して支離滅裂だが、読後の興奮冷めやらない、って事で。