東野圭吾「手紙」

手紙

東野作品ってかなり「殺人」をテーマにした作品が多い気がする。
しかし、一言に「殺人」と言っても、なにも殺人事件を解決する探偵が主人公の話ばかりではないところが面白い。
動機に着目した作品である「悪意」や「殺人の門」、殺人事件の被害者が主人公である「さまよう刃」、（直接・間接的な）殺人犯が主人公の「白夜行」と「幻夜」、そしてこの作品「手紙」は強盗殺人犯の弟、つまり加害者の身内が主人公。

もし身内が殺人を犯したらどうなるのか---。
殺人犯を兄に持つ弟の半生が描かれている。
相変わらず物語が素早く展開し、ぐいぐい引っ張られる。あまり長くはないので、一気に読んでしまった。
そしてラストでは、ちょっと感動。
涙がぽろぽろ出る程ではないけど、じーんと胸に残る感じ。

あと、作中に会社の社長と会話をするシーンがあるんだけど、その社長のの言葉がまたとても印象に残った。
これが東野圭吾がこの作品で言いたかったことなのかなぁ、と思った。