暑い。暑すぎる。
なんだこの暑さは!とわめいてみたところで、さらに暑くなるだけなので、にっちもさっちもいかない。


あまりにも暑すぎて最近呆けてる気がする。
やる気がでない。
食欲もあまりない(食べ始めたら普通に食うんだけど)。
なんとなくごろっと転がってる毎日。
読書する気力もわかない。
しかし時間だけはいつも通り正確に過ぎてゆく。
嗚呼、もう八月も終盤が近い。


そういえば、昨日、衝撃的な事件が。
なんと、自分の部屋にアレがでたのである。
黒くてカサカサ動き回って暗闇を好み、暖かくなってくると活発に活動し、主に台所に生息してそーで不意打ちのごとく空を飛んでみたりするアレ。
コックローチ君。別名ごっきー。
俺はヤツが大嫌いだ。
ヤツが暗闇からカサカサッっと這い出てこようものなら、2、3mは軽く後ろに飛び退くくらい嫌い。
いきなり羽を広げて飛んでこようものなら、近所中に響き渡る悲鳴を上げるだろう。


別に虫は苦手じゃないけど。
あいつは別格だ。恐ろしすぎる。


で、台所でもないのに、しかもわざわざ俺の部屋に出没しやがる。
道ばたで、駅のホームで、カサカサしてるのをここ1週間のうちにみるくらいだから、夕方は奴らの活動に最適な気温なのかもしれない。


もはや恨みといえるレベルで嫌いなので、当然退治しなければならないのだが、ヤツはつぶされるほどスローでもない。
てゆーか潰したくない。
そこで、普通の家ならヤツ退治のスプレーかなんかでぷしゅーっといたぶるのだろうが、うちにはそれが無い。
ここ数年みてない。
親になぜ無いのか訪ねると、ごっきー1匹でそこまで騒げて幸せね、なんて言うが、それはスプレーが無いこととは関係がないと思う。
むしろ会話になっていない。


ヤツはいつも唐突に現れるもんだから、スプレーが無いことに絶望して、切り札を発見していたことを忘れる俺。
5分ほどごっきースプレーの代わりに制汗スプレーでにらみ合った後、切り札の存在を思い出した。
そう、カビキラーである。
風呂場のカビを綺麗にしてくれるアレ。
アレがヤツに効果覿面、一撃必殺なのだ。
今回も狙いを定めて2発命中させれば、こちらの勝ちだ。
いわく、1発目でアシをにぶらせ、2発目で完膚無きまでに叩きのめす。
実際は、とても簡単だ。
呆気ない。
シュッ、シュッでおしまい。
今までの苦労がアホみたいだ。実際アホだが。
そして、ヤツはお空のお星様になった。
俺の部屋に出没したのが運の尽きだった、とあきらめて欲しい。
決して仕返しなんてしないでくれ。


こうして真夏の夜の決闘は終演を迎え、飽きもせず平和な夜が更けてゆくのであった。


他の機体の存在も懸念されるが、怖いのであえてそれは考えずに寝た。